駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

2016-01-01から1年間の記事一覧

浅田次郎『王妃の館』(集英社文庫)全2巻

パリはヴォージュ広場の片隅にたたずむ、ルイ14世が寵姫のために建てたという「王妃の館」。今は一見の客は決して泊めない、パリ随一の敷居の高さを誇る超高級ホテルとなっているこのシャトーに、何故か二組のワケあり日本人ツアーが同宿することになり…傑…

須賀しのぶ『神の棘』(早川書房)全2巻

1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。そして上官からヒトラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。一方、アルベルトの幼馴染マティアスは、大恐慌で家族を亡くし、修道士として静かに暮らして…

篠原悠希『後宮に星は宿る』(角川文庫)

名門・星家の御曹司・遊圭は皇帝崩御に伴う一族すべての殉死が決定されて、ひとり呆然としていた。からくも逃げ延びるが、追われる身に。かつて助けた平民の少女・明々に窮地を救われるも、彼女の後宮への出仕が決まり絶望する。だが、遊圭も女装して後宮に…

2016年観劇総括(と、トップ娘役絶対必要論と、年末のご挨拶)

去年の総括はこちらとこちら。 観劇数は145回。去年より微減、一昨年並みとなりました。8割が宝塚歌劇かな。 一昨年、去年は全演目観劇ができたのですが、今年は『NW!花』とみちふうバウがチケットがどうにもなりませんでした…残念! 来年もチケ難必…

バレンシアの夜が明けなくて…

思いあまって、『バレンシアの熱い花』後日談二次創作SSを書いてみてしまいました。ラモロドです。興味ない方はスルーしてください。 『バレンシアの熱い夜』というよりは『バレンシアの青い小さな花』みたいになってしまいましたが… 初演以降の上演のどの…

服部まゆみ『この闇と光』(角川文庫)

森の奥に囚われた盲目の王女レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられていた…はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになった事実とは…随所に張り巡らされた緻密な伏線と、予測不可能な「本当の」真相。至上の美を誇…

直人と倉持の会VOL.2『磁場』

本多劇場、2016年12月13日19時。 あるホテルのスイートルーム。売り出し中の脚本家・柳井(渡部豪太)が映画のシナリオ執筆のために缶詰にされている。映画の題材は日系アメリカ人の芸術家マコト・ヒライ。映画の出資者で資産家の加賀谷(竹中直人…

宝塚歌劇宙組『バレンシアの熱い花/HOT EYES!!』

梅田芸術劇場、2016年11月18日15時半(初日)、19日12時、16時半。 森のホール21,23日14時、18時。 神奈川県民ホール、26日14時、27日15時。 福岡市民会館、12月3日14時、18時、4日15時。 宝山ホール、11日1…

宝塚歌劇宙組『双頭の鷲』

KAAT神奈川芸術劇場、2016年12月10日11時。 とあるヨーロッパの王国、クランツ城で起きた王妃(実咲凜音)暗殺事件。暗殺者(轟悠)は毒薬に見舞われ、王妃と共に階段に倒れて発見された。黒いヴェールで顔を覆い、人前では決して見せなかった…

宝塚歌劇雪組『私立探偵ケイレブ・ハント/Greatest HITS!』

東京宝塚劇場、2016年11月29日13時半、12月8日18時半(新人公演)。 20世紀半ばのロサンゼルス。探偵事務所の所長、ケイレブ・ハント(早霧せいな)は共同出資者である友人ジム・クリード(望海風斗)、カズノ・ハマー(彩風咲奈)と共に、…

クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(角川文庫)

1919年に生まれたハリー・オーガストは、死んでも記憶を残したまま、誕生時と同じ状況で生まれ変わる体質を持っていた。彼は3回目の人生で体質を受け入れ、11回目の人生で自分が世界の終わりを止めなければいけないことを知る。終焉の原因は同じ体質…

澄輝日記6.3~宙全ツ『バレンシアイズ』@福岡

毎度泣いてるのでだんだん私の涙の価値が下がってるんじゃないかと思いますが、てか私ってそんな泣くキャラじゃないだろうと我ながらつっこみたいのですが、今回も泣きました。だって横浜から一週間ぶりに観たら、すっかり痩せちゃってるんですよ…! 芝居で…

『キネマと恋人』

シアタートラム、2016年11月30日19時。 昭和11年(1936年)、秋。東京から遠く遠く離れたも日本のどこかにある小さな島の小さな港町。この町唯一の映画館では、東京で封切られてから一年も二年も遅れてようやく新作映画がかかる。今日もスク…

澄輝日記6.2~宙全ツ『バレンシアイズ』@横浜

私は神奈川県出身なので、横浜の神奈川県民ホールには気安いイメージがあります。ただし今は東京都民なので、特に来易くはありません。やはり松戸より遠かった…古くて馬鹿でかくて音響が悪いホールですよね。三階席観劇だったのでかなり遠くて残念でしたが、…

澄輝日記6.1~宙全ツ『バレンシアイズ』@松戸

初めて行ったホールでしたが、近くて驚きでした。うちからなら横浜や相模大野より行きやすいんだ!と発見しました。駅からは歩きましたが、カッカしていたのでこれまた全然大丈夫でした。 そしてとても音響のいいホールで、綺麗で快適でした。全ツあるあるで…

澄輝日記6~宙全ツ『バレンシアイズ』初日雑感

そろそろカテゴリーを新設せねば…と思っていますが未だ手を束ねています、すみません。が、病はいよいよ膏肓に入っております。 その1はこちら、その2はこちら、その3はこちら、その4はこちら、その5はこちら。観劇感想の合間にもこちらやこちらなどプ…

バレンシアの熱い夜

『バレンシアの熱い花』後日談の二次創作BL、ラモロドです。 『バレンシアの熱い夜』というよりは『バレンシアの青い小さな花』みたいになってしまいました。 初演以降の上演のどの中の人とも特に無縁で、あくまで脚本のキャラクターに準拠する個人的な妄…

『あずみ~戦国編~』

Zeppブルーシアター六本木、2016年11月16日マチネ。 時は戦乱の世、慶長二十年。うきは(鈴木拡樹)、あまぎ(斉藤秀翼)、ひゅうが(三村和敬)ら幼子の面影を残す少年たちは、小幡月斎(山本亨)に率いられた刺客の一群、狙うは肥後の名将・加…

『遠野物語・奇ッ怪 其ノ三』

世田谷パブリックシアター、2016年11月11日19時。 今は昔、あるいは未来の架空の日本。社会の合理化を目指す「標準化政策」により、すべてに「標準」が設定され、逸脱するものは違法とされた。物事は真と偽、事実と迷信に明確に分けられ、その間の…

宝塚歌劇月組『Bow Singing Workshop~月~』

宝塚バウホール、2016年10月31日15時。 このワークショップ・シリーズのトリ。宙組版の感想はこちら、星組はこちら、雪組はこちら。花組は観られませんでした。 どの組も94期が長を務めていますが、今回は煌海ルイセ、スター枠は98期のありち…

宝塚歌劇月組『アーサー王伝説』

文京シビックホール、2016年10月14日15時(初日)、15日11時。 シアター・ドラマシティ、10月30日16時半。 その昔、ブリタニアには、「岩に突き刺さった聖剣エクスカリバーを抜いたものが王となる」という伝説があったという。魔術師の…

『スカーレット・ピンパーネル』

赤坂ACTシアター、2016年10月26日13時半(赤坂千秋楽)。 1789年、王政への不満を爆発させた民衆が蜂起し、フランス革命が勃発。その後、ロベスピエール(この日は平方元基。プリンス・オブ・ウェールズと二役)を指導者とするジャコバン党…

宝塚歌劇星組『桜華に舞え/ロマンス!!』

宝塚大劇場、2016年9月3日15時。 東京宝塚劇場、2016年10月25日18時半。 黒船が来航し、異国を排斥しようとする攘夷の気運が日本全国で高まり始めていたころ、雄大な桜島を望む薩摩の吉野に生まれ育った中村半次郎(後の桐野利秋。北翔海…

ハンナ・ジェイミスン『ガール・セヴン』(文春文庫)

石田清美、21歳は家族を何者かに惨殺され、ロンドンの底で生きている。そこに飄々とした殺し屋のマークがやってきた。君の家族を殺した人間を探してみようか、と彼は言うが…暗黒街からの脱出を願うヒロインの必死の苦闘を描ききる、女子が女子を書いたノワ…

宝塚歌劇月組『FALSTAFF』

宝塚バウホール、2016年10月18日11時。 イングランド・ヘンリー四世の御代。ロンドン、イーストチープにある居酒屋兼宿屋「ボアーズ・ヘッド」には一日の労働を終えた市井の男女が集まっている。そこに現れたのは騎士サー・ジョン・フォルスタッフ…

宝塚歌劇宙組『エリザベート』

宝塚大劇場、2016年7月22日15時(初日)、23日11時、24日11時、31日11時、8月7日11時、9日13時、18時(新公)、13日11時、15時、14日11時、15時、15日13時、20日11時、21日15時、22日13時(千秋…

吉田修一『怒り』(中公文庫)全2巻

若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、27歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏、房総の港町で働く槙洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬…

『アーサー王伝説』現時点でのダメ出し感想走り書き&プチ珠城日記

月組新トップスター・珠城さんのプレお披露目となる『アーサー王伝説』、文京シビックホール公演初日と二回目を観劇してきました。 いやあ、お披露目っていいですね! 開演アナウンスに切る勢いで拍手しちゃいましたし、フィナーレやカテコは号泣しました。 …

『キンキーブーツ』

シアターオーブ、2016年10月5日18時半(初日)。 イギリス中東部の田舎町ノーサンプトン。老舗の靴工場「プライス&サン」では社長のプライス氏(トム・スラーダ)が幼い息子チャーリー(この日はハリソン・ライト)に靴の美しさを語っていた。しか…

ジェイン・ロジャーズ『世界を変える日に』(ハヤカワ文庫SF)

バイオテロのため、子供が生まれなくなる疫病に世界中が感染してしまった。このままではいずれ人類は絶滅する。科学の横暴を訴えて暴動に走る者、宗教にすがる者…十六歳のジェシーは慣れ親しんだ世界の崩壊を目撃する。彼女の父親ら研究者は治療薬開発に取り…