駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

宝塚歌劇月組『我が愛は山の彼方に/Dance Romanesque』

神奈川県民ホール、2011年11月26日ソワレ。 十世紀中葉、高麗は長年にわたり女真国の度重なる侵略に苦しめられていた。対岸に女真国を望む楚山の町には襲来に備えて沿岸警備隊が配されており、若き武将・朴秀民(霧矢大夢)もそのひとりであった。秀…

宝塚歌劇宙組『クラシコ・イタリアーノ/NICE GUY!!』東宝初日雑感

東京宝塚劇場、2011年11月25日ソワレ。 大劇場初日前日に人生初緊急入院をしてしまったため、遠征計画はすべてパアで、この日がマイ初日になりました。 ツイッターなどに上がる感想もなるべくネタバレしないよう薄目で読んでいて、予備知識をなるべ…

高田都『心星ひとつ』(ハルキ文庫)

酷暑を過ぎた葉月のある午後、扇屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、という話だった。一方、登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の店を居抜きで売るのでつる家として移ってこ…

ナイロン100℃『ノーアート・ノーライフ』

本多劇場、2011年11月17日ソワレ。 1974年の暮れ、フランスはパリのモンマルトル。地下酒場「レ・トロワ・ペロンヌ・ローンドゥ」は日本人ばかりが集まるためにフランス人が寄り付かず、今日もパリの日本人ばかりが訪れる。画家、オブジェ作家、…

『カナリア』

日本青年館、2011年11月7日マチネ。 世紀末--卒業シーズンを迎えた悪魔学校では、ひとりの生徒ヴィム(壮一帆)が最後の課題に取り組むために人間界へ送られようとしていた。ヴィムに与えられた課題のひとつは、人間界で最初に出会った人間を不幸の…

三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』(双葉文庫)

あなたは人形浄瑠璃・文楽を知っていますか? 若き直木賞作家がいかにして「文楽くん」に恋をし、はまっていったのかる文楽の真髄に迫るべく資料を読み、落語を聞き、突撃インタビューを敢行する愛と笑いに満ちたエッセイ。 私はこの人が読売新聞の夕刊に連…

中島梓『転移』(朝日文庫)

2009年5月26日、栗本薫=中島梓が56歳の生涯を閉じた。08年にすい臓ガンが肝臓に転移し、抗ガン治療を続けて以来、意識を失うまで精力的に執筆した。作家であり、主婦であり、母であったひとりの女性のガン闘病記にして命の証。 私は『グイン・サ…

三浦しをん『仏果を得ず』(双葉文庫)

高校の修学旅行で人形浄瑠璃・文楽を観劇した健は、義太夫を語る太夫のエネルギーに圧倒されてその虜になる。以来、義太夫を極めるため、傍からはバカに見えるほどの情熱を傾ける中、ある女性に恋をする。恋か芸か悩む猛は… 歌舞伎とか文楽とかにあまりくわ…

宝塚歌劇花組『小さな花がひらいた/ル・ポァゾン 愛の媚薬Ⅱ』

グリーンホール相模大野、2011年11月3日ソワレ。 江戸末期文政年間、神田や日本橋を襲った大火からひと月が経った頃、「大留」の若棟梁・茂次(蘭寿とむ)は店や両親が炎に飲み込まれたとの知らせにも動じることなく川越の普請場での仕事をやり遂げ、…