駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

白川尚史『ファラオの密室』(宝島社文庫)

 紀元前14世紀、古代エジプト。死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界へ行く審判を受けられず、欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻る。3日の期限のうちに、何故心臓が欠けたのかを探らなければならなくなったセティは、密室状態のピラミッドから先王のミイラが消失するという大事件に遭遇し…第22回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

 ミステリーなのに以下ネタバレ全開で語ります。これから読む予定のある方はここでおやめくださいませ。
 古今いろんな探偵がいるものですが、ミイラ探偵というのはなかなかに斬新なのではないでしょうか。確かにミイラは保存のために作られるものなので、魂がこうやって現世に戻ってくることができる…ものなのかもしれません。ミイラを作った同僚や神官たちはもちろん、古代エジプト世界ではそれなりにありえそうなことと考えられているようで、みんながセティの帰還をわりとあっさり受け入れて、調査に協力しようとしていく様子なんかはなかなかおもしろかったです。
 でも、これがデビュー作ということは著者はそれまでは素人で、エジプトは趣味で好きで調べていてくわしい…とかなのでしょうか? 小説としてはかなり素人臭いな、と思いました。
 先王のミイラ消失のトリックなどの謎解きや、古代エジプト社会の描写なんかはおもしろく読みましたが、根本的に人間が描けていないのです。というかキャラクターとして立てられていない。特にセティには主人公たる魅力が圧倒的に欠けている、と思いました。
 人間的な魅力がなく、チャーミングに描けていないから、過去の設定とかがいろいろあっても全然響いてきません。まして彼の捜査や奮闘に全然親身になれない。親しくない人の死の真相とかに人はなかなか興味を持てないものだからです。性格にさしたる特徴がなく、あいまいで、あたりまえの言動しかしないから、盛り上がらないしお話のために動いているように見える。周りのキャラクターも同様です。
 ハットゥシャ出身の女奴隷カリ視点のターンも中途半端でした。だったらもっと、セティとカリが同等になるくらいの構成にすべきだったのでは?
 セティの死の真相がなんだかなー、なのもアレでしたが、終盤に急に同僚についての愛を語り出すので「ヤダ古代エジプトBLなの? この社会での同性愛ってどーいうものだったの!?」なとドキドキしたのに、なんと実はセティは女性でした、ってつまらんオチで…そんなんで実の息子の代わりにされるものか? 書記官時代、どう隠していたのか? ミイラにされたときに発覚したはずですが、そこでは騒ぎにならなかったのか? ノー説明すぎる、なんなんだ…こんな雑な意識でジェンダーものを扱わないでほしいんですけど。だったらセティの遺志を継いでカリが羽ばたくシスターフッドものにする、とかさあ…なんかあるやろ! なので後半はやや斜め読みして、そのままそっと本を閉じたのでした。残念!!!

 

 

『SHOWMAN』

 新国立劇場小劇場、2026年9月2日19時(一般席12,800円)。

 アメリカ、ニュージャージー州。スーパーマーケットの店員スア(潤花)は、職業ピエロの怪しげな老人ネブラ(松岡充)と遊園地で出会う。彼は写真を撮っていたスアに奇妙な依頼をする。「私の人生の決定的な瞬間を撮ってほしい」小遣い稼ぎにとおもしろ半分で引き受けたスアだったが、撮影が始まるとネブラは自身の人生を事細かに演じ始めて…
 脚本・作詞/ハン・ジョンソク、作曲/イ・ソニョン、上演台本・訳詞・演出/シライケイタ、音楽監督/国広和毅。『レッドブック』のコンビによる韓国ミュージカル、130分の全一幕。

 役者は6人で他に藤岡正明、万里紗、福井晶一、福室莉音と豪華で、舞台にいるオケも6人という豪華さでした。セットもなかなかだったのに、客入りが悪いようで残念ですね。とはいえ私もお安く出たチケットで行ったのですが…
 ラブコメだしエンタメだった『レッドブック』と違って、今は潰えた独裁国家の首相の四番目の影武者だったという老人の回想と、知的障害のある実子の介護要員として海外養子にもらわれたのではないかと悩む若き韓国人女性、という題材はなかなかに渋いし重いし、ざらつきます。でもこれが韓国ミュージカルの奥深さ、懐の大きさを表している、とも言えますね。ただ、じゃあなんで日本に持ってこようと思ったのか、というのはややナゾですかね…
 ネブラが語る独裁者の手口を真似て、スアがマネージャー代理を務めるスーパーでマネージャーに昇格すべく選挙工作をしていく様なんかは、はっきり言ってかなり怖い。こういう現実を突きつけられることに、我々甘ちゃん日本人は慣れていないのではなかろうか…でも、それで結局スアの昇格はなったんですかねどうなんですかね? そこは描かれず、事故から疎遠になっていた義妹との親交が復活して終わり、というのはやや甘く感じられたかもしれません。また、ネブラの方も、半生を語って写真を撮ってもらって、それで何かが本当に昇華したのか…?というのもナゾでした。物真似が得意で家族を笑わせたかっただけの男が、とんでもないことに巻き込まれ、しかしほぼ無自覚にほとんど楽しんでやっていて、でも政権が瓦解したときに罪に問われ投獄までされて、それで一応罰は受けたということなんでしょうが、その後も彼は幸せでも不幸でもなかったようだし…着ぐるみバイトが何かの癒やしになっているのかどうか、とかもナゾで、そういう意味では中途半端に感じました。
 ただ、何役もやってコーラスもアンサンブルもやるようなメンツが豪華で芸達者で、複雑な楽曲もバリバリに歌いこなしていて耳福だったので、まあなんかそれでいいか、と思えた…というようなところは、あったかな。
 かのちゃんは卒業後も何作か観ていますが、いつもどうしても歌が弱く聞こえていたものの、今回はとてもよく歌えていて、そして芝居はいつもとてもいいので(なんてったって声がいいんだよねえぇ…!)、今回もとても素敵でした。いつもなんかちょっと変わった作品を選んで出ているような気がしますが、人柄も良いからお仕事が続いていくのでしょう。これからも応援したいです。

 

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今年のマイ誕プレの話

 お誕生月が終わります。今年も幸せに歳をひとつ取りました。巷ではレベル●とか●カラットとかで年齢を称するそうですね、素敵です…!
 さて今回は、年末に「買ってよかった2026」みたいな記事も書くかもしれませんが、とりあえず今月は多少のワガママはしてもいい、と自分に甘く生きているワタクシが、自分へのお誕生日プレゼントに!と買った4点(4点)のお話です。

 まずは、深夜ネットを徘徊していたら出会ってしまって、翌日たまたま(たまたま)銀座に寄れる用事があって、観に行ったら良くってうっかり買っちゃったよね…という指輪。恥ずかしいので詳細は年末に(笑)。

ティファニーの指輪


 ネットで見たものは細いもので、実際に太いものも見たらそっちの方が存在感があっていいかなー?と悩みに悩んで、でもやはりお値段があまり可愛くなかったのもあって細いものにしましたが、正直それで正解だったなと思っています。めっちゃ光るし、十分に目立つ! 普段使いしていますが、毎日テンションが上がって、すでに元が取れた気でいます(笑)。

 2点目も指輪なのですが、昨年のスリランカ旅行で宝石をお土産に買ってきたのですよ。パパラチア・サファイア、パパラチアとはシンハラ語で「蓮の花の色」のことだそうです。翻訳したら「パッパラッシャ」とか出てきて「何ソレ愉快…」とか思っていたんですけど(笑)、素敵な名前でよかったです。
 この名がつけられるのはオレンジとピンクの中間の色のサファイアだけだそうで、とても希少で「幻のサファイア」なんだとか。ま、店頭ではどちらかというと赤紫色に見えて、赤とかピンクとか紫とかが好きな私としては惹かれざるをえず、まあまあなお値段でしたがまあ記念だし、と購入してきたのでした。
 で、しばらく放置していたのですが、時間が取れたので、以前アクセサリーのサイズ直しとかメッキ加工をしてもらったことがあるお店に相談に行きました。
 指輪の部分をK18とかでまるっと作ると、今は金が高騰しているのでこれまたとんでもないお値段になるという見積もりだったので、手持ちの指輪を持参して、そこにくっつけてもらうことにしました。なのでほぼ爪と台だけなのに、やっぱりまあまあお高かったです…ぐぬぬ、やはり金預金とかをしておくべきだったのか…!?

スリランカ土産の宝石と手持ちの指輪


 これが8月アタマに出来上がってきまして、とあるお茶飲み会に行くのに下ろしたんですけどまーよく光る! 綿に乗っかってコロンとしているときはホントただの色石でしたが、ちゃんとザ・宝石!って感じで、これはまだお出かけのときにしかつけていませんがやはりテンションがダダ上がりするので、すでにもう元が取れた気でいます。私は粗忽者なので、どこかにぶつけて欠けさせたり落としたりしないよう気をつけねば…とは心しています。

パパラチア・サファイアの指輪1

パパラチア・サファイアの指輪2


 3点目は「『わんぱく!刀剣乱舞』第五弾ぬいぐるみ ひめつるいちもんじ」です。私はこの界隈にまったくくわしくないので、わんぱくってなんだとかなんでひらがななんだとか疑問は尽きないのですが、『禺伝 刀剣乱舞』で我が前贔屓の澄輝さやとさんが姫鶴一文字を演じていましたので、ぬいとか買ってどーすんねんとかは思いましたがまあ記念だし…といそいそと予約注文しました。

わんぱくひめつるいちもんじ


 これがお誕生日の博多旅行から帰ったところで届いたのですが、なんと不具合というか不良があったそうで、今は修理に戻しています。四か月くらい帰らないらしい、しょぼん…まあいい大きさなので、ごはんやお出かけに連れていって写真を撮るかと言われると微妙な気がしますが、年内に戻ったらたくさん遊んであげたいです。個体差があると聞きますし、ニコニコ可愛かったので、戻すときにたくさん撫で撫でしておきました。早く帰っておいでー!

 そして4点目は、KAMOSUという糠漬け用の杉箱です。糠床とセットで購入しました。
 私は長く子供舌でしたし、実家ではあまり出なかったのでお漬物に関してはずっと食わず嫌いでしたが、いつしか「これは食べられる」「これはなんなら美味しく思う」みたいな枠が広がり、ここ数年、自宅で糠漬けやりたいな…とずっと考えていたのでした。コロナ渦以降、自分の中でまた自炊ブームが復活しているというのもありますし、この春くらいからわりと真面目にダイエットしているので(毎年誕生月に受ける人間ドックで、数値がいろいろ改善されているとお褒めの言葉をいただきました!)、野菜とか発酵食品とかをやはりもっと積極的に取り入れていくべきよね…など思っていたのです。

糠漬の杉箱


 これは、杉が水分を吸うのでかき混ぜるのも五日に一度でいいし、匂いも漏れず冷蔵庫で保管ができる、という触れ込みだったので、なら自分でもできるかも…と買ってみました。大小あり、ひとりかふたり分なら小、とあったのでそうしましたが、小さすぎてかきまぜるのが大変で、私はランボーで粗忽者なので糠をぜんぶうっちゃっちゃいそうで、つきあい方は学習中です。今のところ胡瓜、茄子、大根、茗荷などいろいろやってみています。説明書には漬けるのは半日で十分、となっていますが、まだ糠が全然育っていないのか、丸一日漬けてやっと浅漬けになるかな?という感じです。ともあれカビさせたりなんたりしないよう気をつけて、ヘルシーな食生活を心がけ、地味ダイエットも引き続き自分なりに続けたいと思っています。

糠床

浅漬け

胡瓜、茄子、大根、茗荷、玉葱、ピーマン、ミニトマトなどなど、いろいろ実験中!



 体型がもうちょっとなんとかなったら、社交ダンスのお教室通いも再開するんだ…! そして還暦には赤いドレス着て変身写真館みたいな写真を撮るんだ…!! それが今の野望です(笑)。

 そんなわけで、おかげさまで今年も楽しく元気にまた一段階レベルアップしたのでした(笑)。
 そうそう、ハピバ博多旅が楽しかったので、今48都道府県巡りの旅をしていますが、2周目として、その都道府県で必ず何かしら観劇してくる、つまりそこの土地にある劇場に行ってくる旅、というのを始めようかな、と思っています。なんせ今は贔屓がいないので全ツについていって地方のハコに行く、みたいなことがやれていないのですが、でもどこにでも何かしらあるじゃないですか劇場って。なんなら大衆演劇のハコはけっこうあちこちにありそうですしね。
 私が観るようなミュージカルや芝居は地方公演があるものもけっこうあるので、今回の『BOOP!』のように、あえて東京では観ず、出かけていって観る、ついでに周りを食べ歩き観光もして出来れば温泉に浸かって帰ってくる…ってのは楽しいんじゃないかな、とふと思ったのです。この福岡県が第一号かな、なので近く別立てで旅行記をまとめ直して書くかもしれません。
 まあ博多は慣れているから気軽に行けたんだ、というのはあるかな…なのでまずは行ったことのあるハコから、になるかもしれませんが。札幌のhitaruや名古屋の御園座はすぐ旅程が組めますね。そこからは、冒険の旅が広がるのかもしれません。とりあえずおださん主演の全ツ、ありうた主演の全ツなら遠出してもいい…!
 わー、書いていてワクワクしてきました、楽しみです! 老け込んでいる暇ない!! なんなら仕事なんかしている暇もない…早く定年退職したーい!!!(笑)
 欲望に忠実に、しかし無理せず、楽しく邁進していきたいです。おつきあいいただけたら嬉しいです!

 

 

水の江瀧子生誕111周年記念『TARKIE』

 有楽町よみうりホール、2026年8月28日18時(S席11,500円)。

 日本のレビュー創世記に松竹少女歌劇団のスタートして活躍した「タアキイ」こと水の江瀧子(凰稀かなめ)。その人気は凄まじく、女性初のストライキ騒動・アメリカ公演・数十万人のファンクラブの開設や、彼女のために東洋一の国際劇場が作られるなど、まさにレビューの黄金時代を築き上げた。ライバルでもあった笠置シヅ子(妃海風)との友情、対立する宝塚少女歌劇団の大塚冴子(天華えま)たちや、トップの座を狙う後輩のオリエ津阪(彩凪翔)など様々な人間関係に立ち向かうタアキイ。そんな時代を、現代のラジオパーソナリティー三枝乃里江(緒月遠麻)たちがストーリーテラーとして、エンターテインメントの素晴らしさを伝えていく音楽劇。
 脚本/樫田正剛(正しい「かし」の字が出ません…)、演出/植草克秀、総合監修/植田紳爾、振付/名倉加代子、音楽監督/宮﨑誠。初の大阪公演もされることとなった再々演、全一幕。

 七人のオケが乗った舞台で、ストーリーテラーが説明する芝居が歌や踊りとともに展開され、その後にミニショーという名のフィナーレがつく、145分のミュージカルレビューでした。ただし芝居パートもショーパートもともに14曲ずつ、というのはミソかもしれません。ちなみにショーパートは昭和アイドル歌謡メドレー、がコンセプトなのかな? まあ、タアキイが戦後もつないだ歌と踊りのエンターテインメントから花開いた昭和歌謡曲、ということでしょうか。ユーミン、山本リンダ、キャンディーズに少年隊、シャネルズにヒロミゴー…そしてシメが「Phoenix宝塚!!」ですよ、コレはちょっと卑怯なのでは!?!?
 初演も再演も気になりつつ手を束ねていたのですが、お安いチケットがこぼれてきたので出向いてきました。このハコは「ホール演劇」にはふさわしいですよね、雰囲気があって素敵でした。ただ、2階席は意外と遠く、いつもの観劇のノリでオペラグラスを持ってこなかったので(私は宝塚歌劇にしかオペラグラスを使わないので)、そうだほぼOG公演なんだから持ってくるべきだった!とは悔やみましたが…まあれんこんやあすくんは声ですぐわかった、卒業後初かな?の愛蘭みこちゃんもおでこでわかりました、可愛かった好きだった! そしてぴーすけはやっぱり歌がいいよねえぇ、でもキタさんが発声3秒で持ってくのがホント卑怯だわー!(笑)先日卒業したばかりのるおりあが、そのアシスタントみたいなお役をやっていました。
 そしてテルがホント、タッパもあって変わらずすらりんとしていてスタイル良くて脚が長くて、一期生だけどドジっ子ででも華がある…というタアキイにぴったりでした。でもこんなナリしていてもテルは本来が芝居の人だと思うので、もっとがっつりした作品に出てほしくもありますね…史実がドラマチックだから、タアキイの生き様が感動的だからいいけれど、脚本としてはヌルいというか、台詞が吟味されていなくて強度がない印象だったので。再演のたびに配役などに合わせてブラッシュアップされてはいるそうなのですが、やや物足りなく感じました。このメンツだからって学芸会でいいってことはないので…
 フウヒナミが無双で良きでした。でも歌は並木路子(さくらまや)の「リンゴの唄」が絶品すぎましたかね…ショーのダンスでは振付家の青山圭男(室たつき)役の方がめっちゃよかったです。こういうお役をオネエキャラで作るのは定番すぎて今どきホントどーなんだって話なのですが(史実だったらすみません…)、ダンスはキレッキレでホントよかったのです。
 ただのカラオケになりがちなショーが、ちゃんと男女混合レビューのフィナーレになっていたのがよかったな、と思いました。OGは現役タカラジェンヌとは違うので、やはり男優と共存していかないと駄目だと思うんですよね。OGではない女優さんが何人か加わっているのもよかったです。
 …と言っておいてなんですが、今回イチたぎったのは「フェニタカ」でテルキタが一瞬絡んだところでしたけれどもね…! てかキタさんの黒燕尾があいかわらず素敵で、仰天しました。もちろん白のスーツにロングコートみたいなお衣装が未だ似合ってしまうテルの素敵さもあってのものなのですが…この時代の宙組を私が何十回観劇していると思ってんのよ!と湧きました(笑)
 芝居の戦争パートで、軍歌が録音で舞台上のオケが演奏しないのがよかったなと思いました。しかし慰問はホント過酷だったことでしょう、よく生還してくれましたよ…同様に、人気者ゆえの働かされすぎとそこからの労働環境改善要求が「桃色争議」と称されるなど、ホント時代を感じますが、そこを切り開いていってくれた人なんだなあと感じます。感謝しかない…
 ところで生涯独身だったのかな? そろそろプライベートに焦点を当てたような伝記ものが描かれてもいい人なような気がしますが…何かあるなら、それを変にアンタッチャブル扱いにされるのも嫌なものですが、さてどうなんでしょうね?
 テルは確か大きな芸能事務所に属していないはずだし、これも小さな企画プロデュースから始まった公演なのかもしれないけれど、好評で続演を重ねてついに大阪進出もするとこのとで、良きですね。OG公演のひとつとして、根付いていくといいのではないかしらん。それはそれとして『愛と青春の宝塚』もそろそろまた観たいぞ。あといくらなんでもプログラムは高すぎだぞ…(事情はお察ししますが、他にもグッズとかけっこう売ってるんだし…)

 

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二階席からの眺め

プログラムとうちわ

終演後にうちわのお渡しイベントがある回でした(^^)。

響人PRESENTS『楽屋』

 APOC Theater、2026年8月24日18時(プレビュー公演、クラファン返礼招待)

 作/清水邦夫、演出/吉原光夫、照明/日下靖順、音響/小川陽平、音楽/藤本藍、舞台美術/冨澤奈美、衣装/西原梨恵。
 女優A/赤間麻里子、女優B/遠山さやか、女優C/大空ゆうひ、女優D/敷村珠夕。全一幕(75分)。

 過去に観た『楽屋』の感想はこちら。

komakoblog.hatenablog.com

komakoblog.hatenablog.com

 遠山さんは12年前の響人の初演『楽屋』で女優Dだったそうです。大空さんもプログラムで「A、B、C、Dコンプリートしたい!(笑)」と語っていますが、次はDが観たいですねー! 別に小娘(失礼!)じゃなくてもいいんでしょ? あるいは実年齢がいくつだろうと若く演じることが出来るのが女優ってものでしょう。そしてAはいつでも出来そうなので(さらに失礼!)、逆にいつでもいい気がします。良き座組で、内容をいい感じに忘れたころにまた観たいです。
 クラウドファンディングはお稽古場代というか、なるべく本番の劇場でお稽古したいのでその確保資金のため、ということで募られていたので、協力させていただきました。その返礼としてプレビュー招待がありまして、初めて行くハコでギュウギュウに入れても百人入るかどうか、というところで椅子も五十出ているかどうか…みたいなところに、スタッフや関係者さん含めて二十人ほどで観ることになったかと思います。贅沢な時間、空間でした…そしてなんと終演後は吉原さんのノートタイムにまで立ち会えました、あわわわわ。
 天井から下がった鏡のいくつかは芝居本編の間は持ち上げられ、最初と最後は鏡のような壁のような使われ方をしていて、A、B、Dはその後ろで歌ったりするのでした。サブタイトルの「流れ去るものはやがてなつかしき」という歌詞だったように思います。カゲコは大空さんかな?違うような…?と思っていたら、やはり音楽の藤本さんの歌声だったそうで、最後のラインナップでは五人目に登場してお辞儀していました。遠山さんと敷村さんはミュージカルの人だそうですが…大空さん、歌わんのかーい!(笑)
 Aは楽屋着っぽい浴衣のときもちゃんとした着物のときもあって、今回はお着物。Bはそれこそ楽屋着っぽいガウン姿だった記憶ですが、今回は舞台衣装にも見えるお洒落ワンピでしたね。Cはニーナ役のときは白いレースのドレス、その後は黒スリップに楽屋着のガウンで、最後の私服はこのあとお呼ばれに見えるときもこのまま帰宅に見えるときもありましたが、今回はその真ん中くらい? コートは真っ赤で派手だけれど、中のオフホワイトのワンピは飾り気がなくて、デートや会食って感じはなかったかもしれません。
 大空さんは、ニーナ役の舞台化粧のときは老けて見えて、「あれで四十よ」と言われるのにぴったりの、なのにニーナ役を未だ握って降りない中年の女優に見えました。そのあとメイク落としするとつるんとした顔になり、さらにお出かけ用のお化粧をするともっと幼く見えた気がして、女優さんって不思議だな…と思いました。それが女優の業というものなのかもしれませんし、女性がそういうものだということなのかもしれません。
 楽屋は舞台とは違うけれど、要するに舞台に出るということが最も過酷で女優の心身を蝕み押し潰し、劇場を出て出かけるなり帰宅するなりするとなると憑き物が落ちるようにさっぱりしてしまうものなのかもしれない。なのにこの女性はやはり女優としてしか生きられない、生きたくないんだろうな、という…大空さんのあの顔の変化はそれを表現していたのかもしれないな、など感じたのでした。
 当初は、あれ? Cが幽霊なんだっけ?? とかうろ覚えで観ていましたし、また、終演後のノート(今は「ダメ出し」という言葉は使わないようになってきているんですよね)でも言及されていましたが、今日はゲネをやってからのこのプレビューだったそうで、しかし空気がけっこう違っていたらしく、なんならゲネの方がよかった、そっちに戻そう、みたいなことも話し合われていました。私はそれでなんとなく納得したというか、ちょっとなんか全体に上滑りしていたように感じられなくもなかったので…そこは、明日の初日から調整してくるのかもしれません。
 なんかね、ぶっちゃけCの大空さんが(ちなみに私は来てプログラムを見るまでAをやるものかと思っていたのですが。だってクレジットが最初じゃなかった?)、ちょっと振り切れていない感じがしたんですよね。実際の女優って、というか特にこのCって人は、普通にしてても芝居がかった話し方をしてしまうものなのかもしれませんが、なんかそのテンションがどうにもよくわからなくて…結局生身なのはこの人だけなので、もっと暑苦しく振り切ってやってもいいんじゃないのかな、と感じました。私がCの役が好きだな、とずっと思ってきたのは、そういうお役だからなので…Dは、ホラもうあっちに片脚つっこんじゃってるので…(イヤDも絶対上手いよ大空さん! それかノンちゃんのAに大空さんB、きりやんCにスミカDで観たいよ!!(笑))
 あと、確かにシームレスに『三人姉妹』に入りすぎているのは感じました。
 赤間さんはぐっと渋く作っていたんだな、とノートのときの艶やかさに仰天しましたし、遠山さんは芝居の間はずっと朝ドラの見上愛じゃない方(ヒドい)に見えていたのにノートのときに明るい照明で見ると印象が全然違って驚きました。もう私服なのにノート後、ラストの場面をやってみる…となったのが、またなかなかおもしろかったです。
 というかノート自体がおもしろくて、もちろん人によるんでしょうけれど、吉原さんはかなり抽象的なことを言っているように私には感じられたので、それを実際の演技に落とし込んで反映いる役者さんってすごいな、と感心してしまいました。重い、引っ張る、ロックに、グルーブを…って言われても演技に困るでしょ、普通…でもずっとこれでお稽古してきているんだから、もはやツーカーなのかな?
 ABDはそのまま呼ばれて、大空さんだけ「ゆうひさん」呼びが多かったのもちょっとおもしろかったです。私服はなんかお洒落なブルーのパンツスーツというかセットアップでした。おさすが!
 敷村さんの声が素敵でしたねえ、またどこかで観られたら嬉しい女優さんでした。
 席を追加したのか、まだチケットがある回もあるようでしたが、自分がもう身動きが出来なくて残念です…!

プログラム

 

※※※

 ところで、千歳船橋にこんな小劇場があるのを知りませんでした。私は社会人になって実家を出て初めてひとり暮らししたのがこの街でしたが、当時はもちろんなかった、と思う…でもじゃあ当時ここがなんだったのかは思い出せませんでした。
 懐かしすぎて、少し早く着いて住んでいたアパートとマンション(町内で一度越して、確か八年か十年住んだはず…)を訪ねてみましたが、そのままにちゃんとまだありました! 駅が高架になっていて道路も広がって綺麗になっていて、だいぶ印象が違いましたが、学校や病院がそのままだったり、当時もあった!というお店もまだあったりして、エモエモのエモでした。
 懐かしいものは流れ去ったりしないのでしょうか、ね?(^^)

APOCシアター入口