シアターアプル、2005年5月11日ソワレ。
ある日、日本へ帰る途中の旅客機が、とある戦地の海辺に墜落。奇跡的に生き残った10人足らずの男女は、廃虚のような建物に、ジャーナリストのオギソという人物によってかくまわれる。だが事故から2週間近くたっても、日本へ連れてかえってくれるはずのオギソは現れない。やがてオギソの代理と名乗るミマツ(渡辺いっけい)が現れ、日本に大地震が起き、テロが激化し、日本へは帰れそうにないと告げるが…作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ、全2幕。
常磐貴子の初舞台というので行ってしまいました。ちょっと猫背っぽく見えるのが気になって、カメラが回っているときだけがんばるドラマや映画と違って、あらゆる方向から見られてしまう舞台の上に立つということはまた大変なことなんだろうなあ、と思いました。でも台詞は明晰だしキャラクターも合っていて、好演だったと思います。
でもお話はよくわからなかった(^^)。
こういう閉塞された空間に寄り集まる男女に緊張関係ができ、だんだん歪んだり狂ったり壊れていったりする、というのは全然理解できますし、そういうシーンや会話ややりとりはすごくおもしろかったし怖かったしでスリリングだったのですが、「では結論は?」となると、私には見えなかったんですね。
異星人は、やはりクニモト(筒井道隆。好き。ぴったり!)の妄想だったのでしょう。マリィ(つぐみ)が未来から来たというのは嘘で、彼女はやはり飛行機の乗客で、別のところで現地人に助けられたのでしょう。ロケットはマリィが乗ってきたものではなくて、やはり現地の学生が昔作ったお遊びのものだったのでしょう。
クニモトがずっとずっと大切に持っていて、そのために殺人まで犯してしまった何かのキーは、やはりロケットの部品などではなく、たまたま合うかなんかして、結局はただロケットをちょっとだけ震わせただけで、クニモトとマリィの命は奪われたのでしょうか。となると残るはミマツと、不時着のショックで正気と狂気の間を行き来するボウゾノ(池谷のぶえ)と、ケシザキさん(常磐貴子)のみ。
一番常識的で現実的で前向きで、喧嘩はしても壊れもしなかったケシザキが、
「ロケットに乗りませんか?」
と言って、幕。それは…どういうこと?
彼女もまたついに壊れてしまったということ? ロケットが本当に彼らをどこかに運んでくれるということ? でも多分ロケットは本物ではないし、戦争のない平和な故郷なんてきっともうこの地球上にはないのです。三人がロケットに乗ったら、クニモトとマリィの後を追って、死んでしまっただろう、ということ?
わーかーんーなーいーよーーー。
…というのが感想です。
ちなみに、役とはいえ、アカイシ(赤堀雅秋)はホントーにイヤでした。虫唾が走るとはこのこと。うがあ。